健康コラム
掲載日:
痔について
外科/栗原聰元 医師
痔には3種類あり、同じ「痔」という言葉がついてもそれぞれ性質が異なります。
具体的に3つの痔は、いぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、穴痔(痔瘻)です。
いぼ痔は肛門にある痔静脈がうっ血により腫脹し、排便時の過度ないきみが加わるといぼ痔の固定が悪くなり、排便時に肛門の外へ脱出するようになります(いわゆる脱肛という状態)。
いぼ痔を予防するためには、少ないいきみで短時間(5分以内)に排便できるように便通を整えることが重要です。また、おしりのうっ血はシャワーのみでは改善しにくいため、入浴が有効です。常に脱肛してしまい、指で脱出を戻さなければならない状態では手術が必要となります。
切れ痔は、硬い便で肛門が裂けてしまう、いわゆるおしりのけが(外傷)です。
肛門は便が漏れないように自然に締まるようになっています。このため肛門の広がりには限りがあります。通常、直径は約3cmですので、バナナのような便は立派に見えますが、太すぎるため肛門が裂ける可能性があります。
切れ痔の予防法としては、痔核と同様に排便のコントロールが重要です。
切れ痔が慢性化して肛門の伸展性が悪化すると、肛門が狭くなり、やわらかい便でも出づらくなります。この状態が肛門狭窄で、手術が必要となることがあります。
穴痔は簡単にいうと、おしりが風邪を引いた状態です。肛門には肛門腺という粘液を出す組織があり、ここに便の中の細菌が入り込みます。
その結果として肛門の周りに膿がたまる肛門周囲膿瘍(穴痔:痔瘻の急性期)を形成します。膿瘍が自然に破裂したり、病院で切開・排膿されたりして腫脹と疼痛は改善します。
しかし、感染の源として線状の硬いしこり(瘻管)が残るものが穴痔(痔瘻の慢性期)です。穴痔を放置すると肛門周囲膿瘍として再燃することがあります。穴痔は「おしりの風邪」ですから有効な予防法はありません。
肛門周囲膿瘍を予防するためには、病的な感染源である痔瘻に対する手術が必要となります。
最後に、3つの痔のうちいぼ痔と切れ痔は排便コントロールで予防することができます。基本は食事、水分、適度な運動です。
食事は食物繊維の多い内容を心がけ、海藻、きのこ、豆類がおすすめです。これらは消化されにくいため、水分を便に運ぶ役割をしてくれます。具体的な食事としては、ひじきと豆の煮物、おから、切り干し大根がおすすめの料理です。水分は1日1リットル以上を小分けに飲むことを推奨します。また、体を動かさないと腸の動きも弱くなるため、適度な運動が重要です。便秘予防には、毎日20~30分のウォーキングに加えて、1日トータル6,000~8,000歩を目安にしましょう。
以上、排便を整えて快適なおしり生活を送りましょう!