院長あいさつ

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汐田総合病院 院長 宮澤 由美

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 汐田総合病院の歴史は1953年に「働く者の医療機関」としてスタートした旧汐田診療所まで遡りますが、1960年の病院化、1987年の総合病院化、2001年の新築移転を経て、団塊の世代が後期高齢者になる2025年を迎えようとしています。横浜市鶴見区も京浜工業地帯の街から、高齢者や障害者、外国人な>ど多様な人が多様な価値観をもって暮らす街へと変わってきました。 

 全国的には人口減が進む中、首都圏の当院を取り巻く環境はまだ緩やかな人口微増が続き、中でも高齢人口の大幅な増加とともに更なる医療需要・介護需要が見込まれる地域です。その中で中核病院をはじめとする近隣の医療機関との機能分化と連携を深め、無料低額診療事業を核として、無差別・平等の地域包括ケアの拠点となるような病院を目指します。さらに、当院の目指すべき方向性として、「高機能ケアミックス病院」から「地域生活支援病院」への転換を図ります。「地域生活支援病院」とは一定の急性期・救急機能を備えながらも、回復期病床が充実した、地域住民の生活を医療を通して支援することに重点をおく病院です。差額ベッド料がなく、経済的要因で差別をせず、社会的弱者に寄り添う、無料低額診療施設としての社会的使命を果たすことは開院以来、守り通してきた理念です。理念を守りつつ、時代の変化に柔軟に対応できる医療機関でありたいと思っています。

暑い夏がまだまだ続きます。(2025年08月12日) 

 日本気象協会によりますと、2025年は統計開始以来、最も暑い6月と7月だったようです。そして8月は記録的な大雨から一転、再び猛暑日が続出し、お盆明けの先週は、関東でも40℃に迫る危険な暑さになるところが出ました。猛暑も災害という見方もあります。暑くても働かなくてはいけない医療従事者のエッセンシャルワーカーとしての使命を全うすべく、職場の熱中症対策として訪問業務の職員や入浴介助に当たる職員、外で駐車場の誘導を行う職員には水分補給、冷房管理、ファン付きベストの支給などを行っています。毎日の体調管理も欠かさず、職員とともに暑い夏を乗り切っていきたいと思います。
 さて、病院経営を巡る状況が大変厳しくなっています。2025年前半(1月-6月)だけで医療機関の倒産は35件と過去最多となった2024年前半の34件を上回りました。このままいけば、2024年より多い数の医療機関が倒産する事態は免れそうにありません。前回、記載させて頂いたように、この状況は即座に地域住民へ適切な医療が提供できなくなる事態や職員の生活が守れない事態を起こすことから、各医療団体が立ち上がって国への支援要望をしています。神奈川県議会もこの事態を重く見て、「速やかな病院経営改善のための支援などを求める意見書」を可決し、国に提出しました。この度、当院は加盟する全日本民医連が提起している「医療機関の維持存続への支援を求める請願署名」を全面的に取り組むことにいたしました。2026年1月に国会へ請願することを目標にしますが、事態の深刻さから一旦、11月をめどに多くの署名を集めたいと思っています。当院HPもご参照頂き、地域医療を守る行動にご賛同いただけますと幸いです。