健康コラム
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便秘について
汐田総合病院 外科 栗原 聰元 医師
東邦大学大森病院で約30年間消化器外科の中でも肛門疾患を専門として診療してきました、栗原聰元(くりはら あきはる)と申します。
この度2025年4月より汐田総合病院外科に赴任させていただきました。より専門性の高い外科治療を提供させていただきたいと考えております。
便秘ってどんなこと?
便秘は「何日も便が出ないこと」だけではありません。毎日排便があっても、お腹が張る、便が硬くて出しにくい、出てもスッキリしない、トイレで長くいきまないと出ないといった症状がある場合は、便秘といえます。特に高齢になると腸の動きがゆっくりになったり、筋力が弱くなったり、薬の影響で便秘になりやすくなります。
便秘を放置すると、イボ痔や食欲不振の原因となり、さらには転倒や認知機能の低下にもつながることがあるため、早めの対策が大切です。
どうして便秘になるの?
便秘の原因はさまざまですが、主に次のようなものがあります。
①水分や食物繊維の不足(野菜、果物、海藻などをあまり食べない)
②運動不足(歩行や体操の機会が少ない)
③排便の我慢(トイレを我慢する習慣がある)
④ストレスや生活リズムの乱れ(睡眠不足など)
⑤薬の副作用(痛み止め、睡眠薬、血圧の薬など)
⑥病気によるもの(糖尿病、パーキンソン病、甲状腺の病気など)
便秘を改善するための生活習慣
まずは、毎日の生活を少し見直してみましょう。
①食事
野菜、果物、海藻、きのこ、豆類、イモ類など、食物繊維が豊富な食品を意識して取り入れましょう。生野菜よりも温野菜の方が効率よく食物繊維を摂取できます。白米よりも玄米や雑穀米の方が食物繊維は多く、腸の働きを助けるのでおすすめです。
②水分
十分な水分を取らないと、便が硬くなりやすくなります。1日1~1・5㍑ を目安に、1回50~100㍉㍑ ずつこまめに水やお茶を飲みましょう。カフェインを避けるため、ほうじ茶や麦茶がおすすめです。
③運動
体を動かすと腸も活発になります。無理のない範囲で、毎日散歩や体操を続けましょう。1日20~30分の歩行 が理想です。
④排便習慣
毎日同じ時間にトイレへ行く習慣をつけましょう。特に朝食後は腸が動きやすいためおすすめです。便を出すときは、肛門に力を入れず、お腹に力を入れるように意識しましょう。
薬を使うときは?
生活習慣を見直しても便秘が続くときは、薬を使うこともあります。
便をやわらかくする薬(軟便剤):腸に水分を集めて便を出しやすくします。
腸の動きを助ける薬:腸の働きを活発にして、自然な排便を促します。
刺激性の下剤:腸を直接刺激して排便を促します。ただし、使いすぎると効果が薄れることがあるため、週に2回までが目安です。薬を使う際は自己判断せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
最後に
便秘は年齢とともに増える悩みですが、生活習慣の工夫や適切な治療で改善できます。「年だから仕方ない」とあきらめず、毎日を快適に過ごすために、できることから始めてみましょう。
寝る前に便秘体操