健康コラム

掲載日:

医師を志したきっかけ

うしおだ在宅クリニック 所長 高橋 雄介 医師

 こんにちは、うしおだ在宅クリニックの高橋雄介と申します。大学卒業後、汐田総合病院で初期研修を行い、2013年から汐田総合病院総合診療科で勤務し、2023年10月からうしおだ在宅クリニックの所長をさせていただいております。
 今回は、私が医師を志し、訪問診療を専門にするようになった経緯、やりがいについて、簡単にお話しします。

 

 

祖母の病気がきっかけに

 小さい頃から祖父母と暮らし、じいちゃん子、ばあちゃん子でした。小学生の時は弁護士や裁判官になりたいと思っていました。
 中学3年生の時、祖母が悪性リンパ腫になり、抗癌剤投与を行ったりしましたが亡くなりました。
 現在、悪性リンパ腫は早期診断できれば有効な抗癌剤がありますが、当時は有効な治療がない病気でした。これをきっかけに治療の難しい病気の治療法を開発・研究したいと思うようになり、医師を志すようになりました。
 大学入学後、医学の専門分化が進む中で、患者様を生活環境や家族関係なども含めてトータルで診られる医師が少ないと感じ、家庭医になりたいとの気持ちが強まりました。
 しかし初期研修をしているうちに能力的に小児科、婦人科までは対応は難しいと感じ始め、総合診療科に属し、研鑽を積むことにしました。

 

自宅で療養することの価値

 卒後3年目に訪問診療に伺うようになり、患者様の生活の場に出向いて診察をすることで、病院にいては分からない生活環境や家族背景が病気の原因になりうること、患者様の価値観を尊重することの大切さを患者様やその家族から教えて頂きました。
 老衰で食事も水分も摂れないが、最期まで自宅で過ごしたいと希望される患者様を担当し、病院との違いに愕然としました。
 病院ではギリギリまで点滴を行うので体がむくみ最期を迎えることが多いのですが、その方はご家族に見守られながら穏やかに最期をご自宅で過ごされました。
 訪問診療をしていくうちに在宅医療のすばらしさを実感し、また対象となる患者様は高齢者が多く、じいちゃん子、ばあちゃん子だったので自然と訪問診療を専門にするようになりました。

 

患者様を中心にした医療を

 在宅医療は一人ではできません。患者様を中心にその家族も含めてケアし、支えていく必要があります。多職種、ご家族と意見を交換しながら患者様にとって何が幸せな選択になるかを考える一体感が好きです。
 医師である前に、一人の人間として今後も患者様に関らせていただければと思います。

健康コラムの一覧へ