健康コラム

掲載日:2021年2月4日

その症状、てんかんではありませんか?


汐田総合病院 神経内科
石代 優美香医師

てんかんとは

 てんかんとは、単に痙攣をおこす症状ではなく、「大脳皮質細胞の過剰な興奮が慢性的に生じている状態」です。そのため、興奮する部位によっては痙攣症状ではなく、発作性に意識障害、記憶障害、幻覚、異常行動、異臭や不快感といった痙攣以外の症状で発症することも多くあります。そのため見逃されていることも多いのが現状です。

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高齢者で増えるてんかん

 「てんかん」と聞くと、子供の疾患と連想される方も多いのではないでしょうか。しかし、高齢者社会が進む我が国では、高齢者の中で増加していることが問題となっています。最近のデータでは新規てんかんの罹患率は、75歳以上では10万人あたり139人(全年齢は10万人あたり44人)であり、また、60歳以上では10歳ごとにてんかんの年間罹患率が上昇するとの報告もあります。

 高齢者の場合、発作が過小診断されることが多いことから、実際の発作は過去の報告と比べて2~3倍、若年者と比べて6~10倍多い可能性があります。

 原因として、脳血管障害、認知症、頭部外傷があげられますが、病因不明の場合もあります。

認知症や精神疾患と間違えられるてんかん

 上述で示した通り、てんかんの症状は多彩で記憶障害や精神症状をきたすことから、認知症や精神疾患と間違えられるケースが多くあります。

 その区別は難しいですが、症状が突発的で、一過性および発作性に繰り返すことがてんかんの大きな特徴です(たとえば突然不可解な行動をする、一時期に道順が分からなくなる、動揺する意識変化など)。また、脳波検査を施行し、脳が興奮している異常脳波が認められれば診断となります。

 治療は抗てんかん薬の内服です。高齢者のてんかんでも良好な治療効果が期待でき、認知機能障害や精神症状が改善するケースもあります。

 てんかんはTreatable dementia(治療可能な認知機能障害)の1つであり、適切な治療介入で良好な転帰を得られる可能性があります。疑われる場合はぜひ神経内科にご相談ください。