健康コラム

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小児の心肺蘇生法について

汐田総合病院 小児科
冨澤 明子医師

 今年もようやく暑い夏が終わろうとしていますが、皆様お元気にお過ごしでしょうか。今回は、もしもわが子が心肺停止になってしまった場合、救急車が到着するまでに出来る対処法をご紹介致します。ポイントは以下の4点です。

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①呼名や刺激に反応するか否か、呼吸や脈拍の有無を調べます。 まずは揺さぶるなど刺激を与えながら声をかけます。乳児の場合は足の裏の刺激も有効です。

 これに対して開眼、応答、泣くなどあれば反応ありです。呼吸は胸部や腹部が上下しているかで判断します。しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸も「正常な呼吸なし」と判断します。

 脈拍は胸鎖乳突筋内側の頸動脈、肘正中やや内側の上腕動脈、大腿内側の大腿動脈などの拍動で調べます。上記を10秒以内に判断し呼吸・脈拍確認出来なければすぐに②に移ります。

 ②心肺蘇生法の開始。

 手順は胸骨圧迫から開始し、気道確保、呼吸補助に進みます。

 胸骨圧迫は胸骨下半分を、胸の厚さ約1/3、100~120回/分の速さで圧迫し、圧迫と圧迫の間は胸郭が完全に元に戻るようにして心室への流入血流量を確保します。中断は最小限に胸骨圧迫を継続することが大切です。左右の乳頭線を結んだ線近傍を乳児は片手指二本(中指と薬指)で、幼児以降は片手もしくは重ねた両手で押します。

 気道確保(頸椎損傷時は除く)は、片手を額にあて、もう一方の手をあご先にあてて鼻の穴が天井に向くまで頭を後ろにのけぞらせ、あご先を引き上げます。

 人工呼吸は自分の口でこどもの口を覆い胸が軽くあがる程度に1回1秒かけて息を吹き込みます。乳児は鼻も覆い、幼児以降は鼻をつまみます。胸骨圧迫と人工呼吸は30対2の割合で行います。

 ③人工呼吸が出来ない場合は胸骨圧迫のみを継続します。

 ④AED(自動体外式除細動器)は小児用パッド(6歳以下の適応)がない場合は成人用を使用してよいです。

 パッドは心臓を挟むようにかつ重なり合わないように貼るのが原則なので小児の場合、胸部前面と背面に貼ってもよいです。

 現在、汐田総合病院小児科は常勤1名体制なので原則、小児の救急外来を行っておりません。申し訳ありませんが、ご理解のほどよろしくお願い致します。

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