健康コラム

掲載日:2020年3月11日

慢性疼痛に対する心理的アプローチ


汐田総合病院 臨床心理士 本多 裕季

 先月の記事「先進諸国で大流行〝慢性疼痛〟」 において、先進諸国で慢性疼痛が大流行している現状について紹介がありました。

 そこで当院では一つの取り組みとして、2年ほど前から慢性疼痛を抱えている患者様に対して、「認知行動療法」という心理療法を実施しております。

 元々、認知行動療法はうつ病や不安症などを対象に発展してきた治療法の一つです。昨今、この治療法が慢性疼痛の治療にも有効であることが分かってきました。「療法」と聞くと身構えてしまう方もいるかもしれませんが、難しいものではありません。

痛みとの上手な付き合い方

 慢性痛を抱えている方の特徴として、身体的な痛みが生じることで「この痛みはいつまで続くのだろうか」「なぜ自分だけ」といった否定的な気分を感じやすくなったり、痛みを避けるために社会交流が減少し孤立しやすくなったりと、生活上の困難や苦悩を抱えている方が多くいらっしゃいます。

 認知行動療法では、実際の痛みへの直接的なアプローチではなく「苦悩=お困りごと」が治療のターゲットとなります。

 身体的な慢性痛による日常生活上の不自由さや悲観的な考えを軽減し、達成感や充実感のある生活を取り戻す、「痛みとの上手な付き合い方を学び、自分自身でよりよい生活を送れるようになる」ことを目指すものになります。

様々な技法を組み合わせて

 そのために「認知行動モデル」を用いて、患者様の痛みの体験について整理を行います。そして、その方に必要な技法、例えば痛みについての勉強、リラクゼーション法、認知再構成法(自分の考え方の癖を知る)、ペース配分の調整(行動と安静のバランスをとる)等を組み合わせて一緒に学んでいきます。

 痛みにより物事をあきらめるといった「痛み中心の生活」から、「自分自身が中心となり物事を決める生活」を目指すためにお手伝いをさせて頂いております。