健康コラム

掲載日:2016年8月29日

「認知症のお話」(5)


汐田総合病院 医師 宮澤由美

 回想法という言葉をご存知ですか? 1960年代にアメリカの精神科医ロバート・バトラー氏により提唱された心理療法です。認知症の人に対する有用性が国立長寿医療研究センターで検証され、また予防にも役立つとされます。

回想法で思い出を振り返ろう

 人は過去を振り返り、懐かしい思いを語ることで活気づき、明日へ向かって歩いて行こうという気持ちになります。高齢者なら尚更です。

 青春時代に流行した歌を聴いたり、若かりし頃の自分や家族の写真を見たり、懸命に働いた職場があった街並みの風景をみて語り合う、これが回想法で、何も難しいことではありません。家庭でも、ちょっとした地域の集まりでも、介護施設でもとりいれることができます。

 認知症の人も昔のことはよく覚えています。じっくり話を聞くと、語ることで話し手の孤独や不安が減少し、聞き手が平成生まれの若い人であれば「昭和の暮らし」を知る、いい勉強にもなります。

「史季の郷」オープン

 2016年6月、鶴見区江ヶ崎町に矢向・江ヶ崎歴史資料室及び交流室として「史季の郷」がオープンしました。地域の歴史を知り、多様な世代が集う地域の交流拠点として作られたスペースです。

 ちゃぶ台や茶箪笥がある昭和初期の居間が再現されたり、木の農機具が展示されたりと回想法のヒント満載。こういうスペースがもっとあちらこちらに増えるといいですね。

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▲写真①:史季の郷

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▲写真②:昭和初期の居間

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▲写真③:木の農機具