健康コラム

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気になる子どもの成長(3)「子どもの成長障害の早期発見のために~受診のタイミングについて~」

汐田総合病院 小児科 冨澤明子医師

 成長障害は、その原因によっては早期に発見し早期に治療を開始することで大きな治療効果を得ることが出来ます。

 しかし、受診すべき子ども自身も、毎日一緒に生活する両親も見た目は元気であるために、変化に気が付きにくく受診タイミングを逃すことも少なくありません。そこで受診が勧められる成長障害のポイントについてお話させて頂きます。

083741 第一に成長率の低下に注目しますと、身長が-2SD(標準成長曲線の一番下の線)以下になった場合やまだ伸びるはずの時期に急に伸びが悪くなり成長曲線が横に寝てきた場合が挙げられます。

 2歳ごろから徐々に進行する低身長としては、女児に特有なターナー症候群や成長ホルモン分泌不全性低身長などがあり、いずれも診断がつけば成長ホルモン療法(在宅皮下注射)が適応となります。ターナー症候群では低身長以外に腎、心臓、性腺などの合併症がある場合もあり、早期精査が重要となります。

 急な成長率の低下に加えて頭痛や視野狭窄、いったん軽快した夜尿が再度おこったなどの症状がある場合は稀に脳腫瘍などが原因の場合があり早期診断が必要です。

 また便秘や寒がり、コレステロール高値などが併存する場合、成長に関与する甲状腺ホルモンの分泌低下症が診断され、甲状腺ホルモン治療開始(内服)で低身長が改善した患者様もいます。

 いずれにしても骨端線が閉鎖してからでは、治療しても低身長の改善は期待出来ないので早期診断・早期治療が重要と思われます。

 学校の養護教諭や幼稚園・保育園の園医、保健所の健診などで低身長精査のお知らせをもらった場合は、母子手帳やこれまでの身体測定の記録も持参してなるべく早く小児科を受診するとよいと思います。

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