健康コラム
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口腔機能低下症について(後編)
歯科口腔外科 東口十麻子医師
(前号から続く)
口腔機能の維持 回復へ向けた管理方法
診断結果に基づき、患者さんの生活環境を踏まえ、それに適した口腔機能の管理計画が提供されます。患者さんへ全身状態を把握し、生活習慣の改善を促しながら、生活指導、栄養指導、口腔機能訓練を中心に行い、歯科疾患の治療と共に口腔機能の管理を行います。定期的に再評価を行い、回復を目指します。
全身状態は、基礎疾患、服用薬剤、意識レベル、認知機能、麻痺の有無などで評価します。特に服用薬剤により口腔乾燥が引き起こされる事があり、これにより口腔衛生状態が悪化したり、食塊形成が困難になります。唾液腺マッサージ、口腔保湿剤の使用、口腔衛生指導による管理を行います。
口腔衛生状態の不良は誤嚥性肺炎を引き起こします。患者さんの家族や介助者に対しても口腔内の衛生状態を良好に保つことが重要であることを説明し、清掃方法の指導を行います。
口唇や舌の機能低下により摂食できる食品の種類が限定されると低栄養につながります。また、発音障害を生じる事があり、コミュニケーションの問題や社会性の低下を引き起こします。口唇閉鎖力や舌圧向上のための筋力増強訓練の指導、舌口唇の運動範囲を広げる可動域訓練、発音訓練を行います。
最も重要なのは、立案された生活指導やセルフケア指導などの口腔機能管理計画に対して、患者さんの長期的な協力を得ることです。患者さんが自らの口腔機能に関心を持ち、その回復や維持などの目標に向け取り組むことが必要です。