健康コラム

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骨粗鬆症について②

汐田総合病院 整形外科 佐々木正造医師

 

 今回は骨粗鬆症の対策についてお話します。骨という組織は人の体の中で「若返りを狙える」数少ない組織の一つです。ぜひ皆さんも骨の若返りに挑戦してみて下さい。

 

骨を強くする3本柱

 さて、骨を強くするための生活3本柱というものがあります。「運動」「適切な栄養摂取」「日光浴」の3つです。運動の基本は歩くことです。骨に効かせるには自分の体重を地面にしっかり伝えて骨に重力負荷を与える必要があります。健康番組で「踵落とし」がいいと言っているのはそのためです。プールでの水中ウォーキングではあまり効果がありません。1日8000歩の陸上ウォーキングを週3回1年間実施し、中高齢者の骨密度が1年で1・5%上昇したという研究報告があります。
 次に栄養です。骨に大切な3大栄養素はカルシウム、ビタミンD、ビタミンKですが、これらは基本栄養素としての炭水化物、蛋白質、脂質が十分とれていることが大前提です。基本栄養素をとらずにカルシウムとビタミンD、ビタミンKだけ摂取しても効果ありませんよ。以下のQRコードアクセスするか、「骨粗鬆症財団 資料」で検索すると栄養に関する詳しい資料があります。
 3つ目は日光浴です。日光には紫外線が含まれ身体に有毒なことが知られているため、訴訟大国のアメリカを始め近年欧米先進諸国のガイドラインから日光浴が外されてしまいましたが、骨粗鬆症治療の観点からは紫外線が有用なことが知られています。横浜市の日照量では1日20分、長袖の服を来て、手袋をしないで外出することで必要なビタミンDが体内で生成できます。

 

骨粗鬆症と診断された方々へ

 骨粗鬆症は何歳からでも治療できます。年齢制限などありません。いつ治療を始めても手遅れではありません。病院には数多くの治療薬が準備されています。治療によってどのくらい骨密度が伸びていくのかを楽しみにして治療に励まれるとよいでしょう。

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