健康コラム

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骨粗鬆症について

汐田総合病院 整形外科 佐々木正造医師

 

 このたび骨粗鬆症についてお話しできる機会をいただきありがとうございます。今回から2回にわたって骨粗鬆症のお話をいたします。
 今では骨粗鬆症という単語をご存知の方が多いと思いますが、この言葉が国民的に知られるようになったのは1990年代以降です。それ以前、「骨粗鬆症」というのは専門家用語で、国民の主な関心は、がん、脳卒中、心臓病に向いていました。
 当時「骨粗鬆症は加齢現象であり治せない」という認識が一般的で、カルシウム製剤などの薬はありましたが効果は今一つでした。90年代に入ると「骨粗鬆症を本気で改善し得る」薬が開発され始め、また同時に骨密度を測定する機器が全国に普及していったことで骨粗鬆症という病名が広く知られるようになりました。

 

薬で骨密度が改善

 日本で決定的に時代が変わったのは2003年、骨密度を1年間で平均5%上昇させる薬が始まった時です(世界的には93年にイタリアで発売されたのが最初)。「骨密度が1年間に5%上昇する」意味を考えてみましょう。骨粗鬆症では治療を受けない限り、1年間で平均1%骨密度が低下します。5年間で5%低下するわけです。つまり5%上昇するというのは骨が5歳若返るということになるのです。この治療薬は世界中の関係者に衝撃を与えました。骨粗鬆症を治せる可能性がついに出てきたのです。21世紀に入ると治療薬の開発が次々と進み、今では1年間に10%以上骨密度を上昇させる薬も出ています。

 

骨粗鬆症の原因

 骨粗鬆症は「骨の強度が低下し、骨折しやすくなっている状態」と定義されています。骨粗鬆症の原因には様々ありますが、代表的なものは女性の更年期におけるホルモンの低下によるものと、男女を問わない加齢によるものの2種類です。加齢によって1年間に平均1%骨密度が減少しますが、女性の閉経後5年間では骨密度が平均で15%も減少すると言われています。
 次回は骨粗鬆症の対策についてお話します。

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