健康コラム

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高脂血症について(2)

2)LDL、HDL とは何か?

それでは、その人体に必要な脂質であるコレステロールのうちにLDLコレステロールを悪玉コレステロール、HDLコレステロールを善玉コレステロールと呼んでいますが、そもそもHDL、LDLとは何を指すのでしょうか?なぜ、善玉・悪玉なのでしょうか?

そもそも、脂質であるコレステロール・中性脂肪(トリグリセライド)は水に溶けません。70%程度が水分である人体の中で、しかも血液中で移動するためには溶けやすい形になる必要があります。このときにコレステロール・中性脂肪に結びついて水分に溶けやすい形としてくれる物質をアポ蛋白といいます。(アポ蛋白には他にも役割があります:下図)

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そして脂質とアポ蛋白が結びついてひとつになった状態をリポ蛋白と呼びます。
そのリポ蛋白においてコレステロール・中性脂肪・アポ蛋白の結びつき方の量の比率でいくつかの種類に分けられます。(下図)

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このリポ蛋白のうち、コレステロールが比率で半分以上を占めるものをLDL(Low Density Lipoprotein:低比重リポ蛋白)と呼び、アポ蛋白が比率の約半分を占めるものをHDL(High Density Lipoprotein:高比重リポ蛋白)と呼びます。

LDLは体の組織に必要なコレステロールを供給する役割を担います。一方HDLは末梢組織で使い切れずに余ったコレステロールを再吸収して肝臓に戻してリサイクルするという役割を担います。(これを難しい言葉でいうと“コレステロール逆転送系”と呼びます。)

HDLは体に余剰なコレステロールを再吸収してリサイクルする役目をするので『善玉』ということになります。特にHDLに含まれているコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれます。
一方LDLは体の組織にコレステロールを供給するわけですが、種々の要因で増加して余ってくると血管の内壁(内膜の中)に蓄積して酸化を受けて変性して動脈硬化の原因になります。やがて血管の閉塞・破綻により脳梗塞や心筋梗塞などの病気の引き金となります。

ゆえにLDLは過剰であれば人体にとって『悪玉』となります。特にLDLに含まれているコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれます。

では、これらコレステロールや中性脂肪の数値が高くなるとどのような病気を起こすのでしょうか?また、予防や治療にはどのようなものがあるのか次回以降お話ししたいと思います。

「暮らしとからだ」第593号(2013年7月1日)より

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