健康コラム

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糖尿病の合併症について(2)

糖尿病は合併症を起こさないよう、血糖コントロールが大事です

梶山診療所所長 岡山 豊医師

糖尿病腎症・糖尿病神経障害・足壊疽

図1:糖尿病足病変78歳の男性、15年来の糖尿病のため近医に通院して内服治療中の方。2ヶ月前から両足がむくみ始め徐々に悪化していましたが、急に左足の小指と薬指が化膿して黒くなり、激しい悪臭を放つようになったため、緊急入院となりました。

全身がむくんでおり、足は刺激しても鈍感で、左足の指が腐っている(壊死している)にもかかわらず痛みを感じないという状況でした。

血糖値380mg/dl、HbA1c 9.6%(糖尿病の指標)と高くと、腎機能は透析一歩手前の数値で、尿蛋白は多量、血液中の蛋白は希薄で、胸水も認めました。

左足は整形外科にコンサルトし毎日洗浄することとなりました。

カロリーや蛋白や塩分を制限した食事、インスリン注射・利尿剤・抗生剤を投与しながら血の巡りを良くする薬の点滴を連日行いました。

体のむくみは取れて血糖値も安定し、足の状態は悪化することなく推移しましたが、1ヶ月後に再び悪臭を放つようになりました。

整形外科は血液透析のできる環境での手術が必要と判断、転院先を探すこととなり、半月後に転院し無事に左足の部分切断手術が施行されました。

血糖コントロールが大事

図2:フットケア糖尿病で血糖コントロールが悪いと腎臓や神経も侵されます。

腎臓が侵されると尿に蛋白が出て血液中の蛋白が失われ、さらに進むと尿量が減ってゆき血液透析が必要となります。

神経が侵されると両側の手足にしびれや痛みを感じたり、こむら返りや勃起障害を起こしたり、感覚が鈍くなって痛みを感じにくくなります。

糖尿病は感染症にも弱く、さらに血管障害も関与して足に病変が生じてやすく、潰瘍や壊疽を起こします。

足病変の予防にはフットケアが必要です。

前述の患者さん、その2ヶ月後に右足にも壊疽を起こし再び切断手術を受けました。

糖尿病は合併症を起こさないよう、血糖コントロールが大事です。

「暮らしとからだ」第559号(2010年9月1日付)

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