健康コラム

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治せる認知症もある

汐田総合病院 脳神経外科
荒木 孝太 医師

 暑さが日ごとに増してまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
 本題に入ります前に、ご挨拶をさせていただきます。2018年4月1日より、汐田総合病院に入職いたしました、脳神経外科の荒木孝太と申します。山梨大学医学部を2009年に卒業し、横浜市立大学脳神経外科の研修を経て、縁あってこの地に赴任できたことを大変光栄に思います。皆様方の健康を守るため、頑張って参ります。今後ともよろしくお願いいたします。

正常圧水頭症とは?

 早速ですが、今回は治せる認知症について話をいたします。皆様は正常圧水頭症(iNPH)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
 頭の中では、脳脊髄液という水分が一日500mlほど作られ、それが循環・吸収されています。何らかの原因で流れが滞ったり、過剰に作られたり、吸収が悪くなったりするとその水分が頭に溜まってしまい、認知症に似た症状を引き起こすことがあります。この病気を水頭症といいます。水頭症のうち、脳の圧力が上がらないものを正常圧水頭症と分類されております。

 正常圧水頭症は、くも膜下出血や髄膜炎、外傷などに引き続いて起こるものと、高齢者に多く原因のはっきりしない特発性と呼ばれるものがあります。特発性は正常圧水頭症のおおよそ半分を占めると言われています。

 正常圧水頭症には特徴的な3つの症状が存在します。①歩行障害…足が開き、がに股で小刻みな歩行となる。転びやすくなる。②精神活動の低下…注意力や集中力が下がる、うつ状態となる、記憶力が落ちる。③排尿障害…トイレに間に合わない、失禁してしまう。

 これらの症状は、アルツハイマー型認知症などと異なり、治療によって改善する可能性があるため、もし一つでも当てはまる場合は脳神経外科や神経内科にご相談ください。

早期発見・早期治療

MRI+人 来院後、正常圧水頭症が疑われる場合は、CTやMRI等の画像検査や腰から針を刺し、脳脊髄液を抜いてみることで症状の改善をみるタップテストという検査を行います。診断が確定し、症状の改善が期待できる際には脳脊髄液をお腹や血管の中に逃がすシャント手術を考慮することになります。
 この病気は、早期発見・早期治療が肝要です。治療に適した時期を逸しないためにも、気になることがございましたら遠慮なくご相談ください。

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