健康コラム

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最後まで住み慣れた我が家で(4)

うしおだ福祉サービス 柿崎 勉

 前回に続く三大介護ゾーンの第2弾は、トイレに関しての情報をお伝えします。

 多くの方が目標としているトイレの自立は、健康な時には感じる事がなかったほどハードルが高く、同時に家族の介助が難しい場所の代表格です。

 毎日、朝から夜中まで何回も使う場所、それがトイレです。屋内でも最も狭いスペースでありながら、そこでは驚くべき種類の動作が行われています。

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 開ける、まわる、かがむ、脱ぐ、座る、拭く、立つ、洗浄、手洗い、移動、閉めるなど、狭い空間なのにたくさんの動きが必要になります。「排泄」という行為の中身は多岐にわたっているのです。特に和式便器(一段高い所に便器がある汽車便を含む)は、比較にならないほど大きな負担が生じています。

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●私たちの提案

 扉は前後・左右の移動が抑えられ、バランスを崩しにくい引き戸や折れ戸に交換を考えます。立ち座りや移動時に欠かせないのは手すりの設置です。入口付近や便器周りには、介護保険レンタルでも十分活用可能な商品が出揃っており、工事が出来ない場合でも安全な環境を整える事が出来ます。また、低い便座に補高するための専用便座があり、介護保険の購入対象品となっています。その他、保険外とはなりますが、温水洗浄便座や脱臭器、足元ヒーター、センサー照明、ワンハンドペーパーホルダーなど色々な商品が存在します。

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 先ほど触れた和式ですが、既存の便器に被せる商品も複数のメーカーから出ており、工事不可のお宅でも簡易な洋式スタイルへの転換は介護保険が利用できます。もちろん、和式から洋式への便器の変更交換も介護保険が認められています。

 このように狭いトイレでも施す箇所はたくさんありますが、リウマチ、パーキンソン、認知症、脳血管疾患など、疾病ごとに配慮する事が重要になります。いつまでも自分ひとりで行きたい場所、それがトイレです。おむつやポータブルトイレを選択する前に、きっと出来る事があると思っています。今一度、ご自宅のトイレの便器に座った時に、見回してみてはいかがでしょうか。

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