健康コラム

掲載日:2013年9月2日

高脂血症について(4)


ここでプラーク形成からどのように病気が引き起こされるか触れておきます。下図は心臓における急性冠症候群:ACS(不安定狭心症、急性心筋梗塞を含む緊急治療を要する疾患群)の話です。

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血管内壁に形成されるプラークには2種類あり、脂質に富んで被う線維も少なく破れやすい『不安定プラーク』と脂質が少なく線維に安定して被われている『安定プラーク』があります。もちろん不安定プラークが危険であり、これは高血圧などで血流の変化が生じたり、プラークを被う線維が弱くなったり、血管の攣縮(けいれん)が起きたりすると破れます。プラークが破れると傷口を修復するのと同じように血小板などが集まり傷口を固めるために血栓(血液の塊)を形成します。これが突然血液の流れを止めて心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因となるのです。よくプラークが血管の中で大きくなり最終的に塞いでしまうイメージがありますが、実はそうではなく、血流の破綻は突然やってくるのです。心筋梗塞や脳梗塞が突然発症して治療に急を要する理由はここにあります。

一方、トリグリセリド(中性脂肪)が高くなるとどうなるでしょうか。直接的には脂質の消化にかかわる臓器への負担・障害となって現れます。具体的には脂肪の消化液である胆汁を産生する肝臓が脂肪肝となって肝障害を引き起こしたり(長期的には肝炎・肝臓癌の原因ともなる)、消化酵素を出す膵臓において急性膵炎を起こします。(急性膵炎は重症になると命にかかわります。)

トリグリセリドは動脈硬化には、一見直接的影響はないように見えます。しかし、実はトリグリセリドが高くなるほどHDLコレステロールが低くなることが知られています。つまり高トリグリセリド血症は動脈硬化の危険因子でもあるのです。

高LDL―C血症、低LDL―C血症、高トリグリセリド血症は動脈硬化の危険因子であり、高トリグリセリド血症は脂肪肝・急性膵炎の危険因子ともなります。心臓や脳の血管に動脈硬化が生じれば、心筋梗塞・脳梗塞を引き起こします。また、高血圧、糖尿病、肥満が脂質異常症に加わると(これらを『死の四重奏』と呼んだりします)、より難治化・重症化します。脂質異常症がいかに生活習慣病として重要か理解できるでしょう。

「暮らしとからだ」第595号(2013年9月1日)より