健康コラム

掲載日:2012年1月1日

歩行障害について「健康寿命を延ばしましょう」その3 腰部脊柱管狭窄症


汐田総合病院 脳神経外科科長 山内 達也医師

腰部脊柱管狭窄症という病気があります。「歩き始めはよいが、数分歩くと足が動かなくなっています。しかし数分間座って休んでいるとまた歩けるようになる」 というのが特徴です。このような症状を間歇性跛行といいます。その他症状としては、足の痺れや痛み、腰痛などです。このような症状が出現したらこの病気が疑われますので、速やかに整形外科もしくは脳神経外科を受診することをお勧めします。

▼腰部脊柱管狭窄症とは

その名の通り腰で背骨(脊柱管)が狭窄変形する病気です。狭窄の仕方によっては、脊柱管の中を通る坐骨神経を圧迫し、いわゆる坐骨神経痛を生じる病気です。坐骨神経は足の運動や感覚を司る神経なので、このような症状が出現します。年齢とともに誰でも骨は変形するので、時々足がしびれるといった程度の軽症のものも含めると非常によく見られる病気です。しかし病状が進行すると歩行の困難をきたすようになり、日常生活に影響が出てきます。

▼診断は

レントゲンやMRI検査で主に行います。しかし一番大事なのは症状です。一般に腰を伸ばしたときに腰の骨による坐骨神経の圧迫が強くなり、症状が強く現れます。逆に腰を曲げると圧迫が弱まり症状が楽になります。「数分歩くと足が動かなくなるが、座って休んでいるまた歩けるようになる」という特徴的な症状は、このよう理由で起こるわけです。また自転車は腰を曲げたまま乗るので、自転車ならば長時間でも楽にこげるというのも特徴的です。

▼治療は

軽いものであれば生活指導、運動療法、リハビリ、薬などで症状は軽減します。「腰部脊柱管狭窄症は切らずに治す」といううたい文句の本があるくらいですので、ほとんどの方がこれらの治療で治ります。これらの治療でも効果がなく、痛みが強い場合には坐骨神経に麻酔薬の注入(ブロック療法)を行なうこともあります。これら治療で効果がない場合には手術治療が必要になります。適切な時期に適切な治療を行えば、元の日常生活に戻ることは可能です。しかし坐骨神経が回復できないくらいにダメージを受けてからでは、どのような治療をしても回復は難しくなります。

当院では、整形外科と脳神経外科が協力して腰部脊柱管狭窄症の治療を積極的に行っています。

以上3回にわたって、歩行障害をきたす病気についてお話しさせていただきました。これを読まれた方がもし本当にこれらの病気になってしまった時に、適切な治療時期を逃すことなく、適切な治療がなされることを切に願います。

「暮らしとからだ」第575号(2012年1月1日付)