健康コラム

掲載日:2010年8月4日

糖尿病の合併症について(1)


梶山診療所所長 岡山豊医師

糖尿病網膜症/眼底出血

zu166歳の男性。これまで特に病気らしい病気にかかったことがなく、定年退職後は健診も受けておられなかった方。1ヶ月前から両足がむくみ始め、靴が履けなくなったために受診されました。

血糖値は320mg/dlと高く、HbA1cは10.2% (糖尿病の指標で正常値は5.8%以下)、腎機能の軽度低下も認めました。むくみの改善と血糖コントロールを目的に入院して頂き、治療によりむくみや血糖値は落ち着きました。

視力や視野に問題ないとのことでしたが、眼科を受診すると大きな眼底出血が見つかりました。レーザー光線による治療対象を超えており、特別な眼科手術が早急に必要で、失明の危険性もあるため転院する運びとなりました。

(図をクリックすると大きく表示します)

定期的に眼底検査を

人間の眼の奥には網膜といわれる光を捉える細胞の層があり、ここを眼底と言います。人は網膜のすべての領域を利用して物を見ている(視覚認知)のではなく、実際には網膜の中央領域しか使っていません。従って、網膜の周辺部で出血しても視力や視野に症状が出ないのです。

糖尿病で血糖コントロールが悪いと眼底で出血する合併症(糖尿病網膜症)を起こします。周辺部で小出血している段階ではレーザー光線による治療が行われます。出血が拡大して網膜の中央領域まで及ぶようになると初めて症状が出てきますが、その時にはすでに広範囲に出血しており網膜剥離による失明のリスクまで出てくるのです。特別な病院での特別な眼科手術(硝子体手術)が早急に必要となります。

従って、糖尿病の患者は症状がなくても、定期的に眼科を受診して眼底検査を受けないといけません。気づかないうちに眼底で病気は進んでいるかもしれないのです。

「暮らしとからだ」第558号(2010年8月1日付)