健康コラム

掲載日:2008年9月1日

「外陰部掻痒症(がいいんぶそうようしょう)」ってなに?


婦人科 清水かほり医師

外陰部掻痒症とは、文字通り女性の外陰部が痛痒くなる症状を有する疾患を指します。厳密には、感染症や悪性疾患などの器質的疾患を除外しますが、ここでは一括してお話ししたいと思います。これは、人に相談しにくく本人が病態をつかみにくい、市販薬の誤用が多い、最近増加傾向にある等の意味で婦人科的には注意の必要な疾患の一つです。

閉経期女性~外陰部乾燥によるもの

閉経後、女性ホルモンが不足することにより外陰部周囲の皮膚粘膜の萎縮が起こり、皮脂腺分泌物の不足、乾燥による慢性的な痒みや不快感が出現します。不足している女性ホルモンを少量補うことによって一時的に軽快しますが、投薬を中止すると再燃するという大変さもあります。また、同時に細菌、真菌等の感染症をかぶって難治性になっている事や、稀には白板症(はくばんしょう)、パジェット病といった前癌病変があったりしますので時々チェックに来院を。

性成熟期女性~感染症によるもの

月経が定期的にある期間の女性を婦人科では性成熟期と呼びますが、この時期に出現する外陰部の痒みは、ばい菌の感染による事が多いです。普通の細菌群に対しては免疫力が特に低下していなければ、皮膚に炎症を起こすまでには至らず、帯下の色の変化に気が付く程度。これもまた、通常は自浄作用により治癒してしまいます。問題になるのは、カンジダという真菌(カビの一種)で、皮膚刺激作用が強く、高度の外陰部掻痒感があります。また、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染により外陰部に痒みを来たすことがありますが、痒みの程度としては軽度。稀に市販薬を使っているうちに、感染の再燃+薬のアレルギー+2次感染といった煮詰まった状態になってしまう方がいますので、注意が必要です。

皮膚過敏症によるもの

このタイプの方は大変増えている印象です。日本人はもともときれい好きな人が多く、最近はきれい好きが一層高じて、下着が汚れないようにおりものシートをあてたり、入浴時に膣内を洗浄したりする人が増えています。膣内の帯下や外陰部皮脂腺の分泌は、口内の唾液が細菌の繁殖を防ぐために常に分泌されているのと同じ機序で、局所の感染を予防しているので、全部取り除いてしまったらかえって細菌感染に対して弱い状態になってしまいます。体の中からきれいにする、という感覚をもってもらうのが大事です。

「暮らしとからだ」(2008年9月1日付)