健康コラム

掲載日:2005年10月1日

禁煙のススメ(3)


汐田総合病院院長 窪倉 孝道医師

やめられない原因は習慣

喫煙者がタバコがやめられないのは喫煙が習慣になっているからですが、次の三つの要素が関係しているといわれています。

①ニコチンが精神に及ぼす作用
②ニコチンへのその人の感受性
③喫煙に対する社会の評価

この三つに個々人が持つ心理的な特性があわさり、喫煙へのかかわり方が決まります。禁煙にとりくむ場合も、喫煙が習慣化するこのメカニズムを理解しておくととりくみやすいと思います。

ニコチンは交感神経や脳に働き、快感を引き起こします。ニコチンには不快感な作用もありますが、快感を強く感じやすい人には喫煙をくり返させる力として作用します。覚醒剤などと同様に「やめようと思ってもやめられない」依存状態をつくり出すといわれています。未成年者では、成人よりも短期間にこの依存状態になりやすいことが知られています。

こうした喫煙行動の初期には、「かっこいい」「大人になった気分」などの、喫煙に対する肯定的なイメージが重要な役割を果たします。イメージの形成には、生育環境、タバコ広告、社会の喫煙に対する見方などが強く影響します。

一方で、タバコによって病気になったり、身近な人や医療関係者からのひとことで喫煙に対するイメージがガラリと否定的に変わり、禁煙に踏み出す人が少なからずいます。人間の喫煙行動の複雑さを感じます。

禁煙支援プログラムとは

今、禁煙支援プログラムは、人間の行動に働きかける将来の「行動療法」と、禁煙時のつらい離脱症状を軽減する最近の「ニコチン代替療法」を組み合わせて行われるようになりました。この結果、禁煙方法の選択肢が広がり、禁煙のつらさが緩和され、禁煙のスタートが格段にしやすくなりました。

最近の行動療法は、禁煙に至るまでのプロセスを「無関心期」「関心期」「準備期」「実行期」の5段階に分け、それぞれの段階にあった働きかけを行います。

食生活や飲酒などの行動は、一朝一夕には改善しません。禁煙も、一回の試みで生涯禁煙者になるのことはまれです。数年かけて平均三~四回禁煙にとりくみ、表2にある行動療法の段階を行きつ戻りつしながら、生涯禁煙の段階に至るのです。

ニコチン代替療法は「実行期」の段階で用いられます。禁煙すると、イライラする、眠れない、無性にタバコが吸いたくなるなどのニコチン離脱症状が現れます。これに対してニコチンを、ガムや皮膚に貼るバッチなどの薬剤として投与します。そして、症状を緩和しながら心理・行動的依存からまず抜け出し、次第に薬剤を減量してニコチン依存から抜け出すというものです。

これらの禁煙支援プログラムは標準的に約二ヶ月かかりますが、終了時に60%以上の人が禁煙を達成し、後はその維持をはかってゆくことになります。まだ医療保険が適応されていませんが多くの医療機関でとりくむようになってきています。インターネットなどでも調べられます。

「暮らしとからだ」2005年10月付