健康コラム

掲載日:2017年5月8日

頭部外傷後の症状に注意


汐田総合病院 脳神経外科 樋口優理子医師

 冬には雪の舞う日や、路面が凍結するほど寒さの厳しい日もありました。この頃は暖かい陽気になり過ごしやすい季節になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 どんなに注意されていても、外出時あるいは屋内で転倒してしまい、頭部外傷で受診される方が脳神経外科にいらっしゃいます。汐田総合病院脳神経外科では、受傷当日は創の処置を行い、頭蓋内に出血性病変や骨折がないか、頭部CTなど画像診断を実施しています。

1週間後には縫合した創を抜糸し、これをもって終診となることがほとんどですが、頭部外傷のあと、遅れて出てくる頭蓋内出血、慢性硬膜下血腫があります。

 早ければ受傷後3週間から、遅いと3か月後に症状が出て受診される場合もあります。症状としては頭痛、ふらつき、まっすぐ歩けない、どちらかの手足の不全麻痺、あるいはぼーっとしている、食事がとれない、急に認知症になってしまった、という主訴で、慢性硬膜下血腫が診断された事例もあります。

 頭部外傷後、一部の方だけが慢性硬膜下血腫を発症しますが、慢性硬膜下血腫に至る根本の原因はまだ究明されていません。

 高齢者やアルコールをよく飲まれる方、あるいは治療上必要で抗血小板薬や抗凝固薬を内服している場合には、頭部打撲後の慢性硬膜下血腫のリスクが高いといわれています。

 慢性硬膜下血腫と診断されたら、診察室での神経症状と画像診断による血腫量との総合判断で、内服による保存加療が可能か、あるいは入院して手術加療を行うべきか決定します。

 入院加療の場合には、穿頭血腫ドレナージ手術を行います。頭蓋骨に1円玉くらいの穴をあけ、ドレーンという管を1本挿入し、血腫を排出する手術です。おおよそ1週間で傷が癒えたころに退院します。

 当院脳神経外科では、頭部外傷で受診された方には「頭部外傷パンフレット」をお渡しし、注意点を必ずご説明するようにしています。頭部外傷後、症状がある場合には必ず受診して頂き、慢性硬膜下血腫の有無について評価することが必要です。

 早めに受診されて血腫が少量のうちに診断され、内服治療で手術回避できた方もいらっしゃいます。また小さいお子さんで頭部外傷後受診される場合には、他の注意事項がありますので「小児用頭部外傷パンフレット」を用意してご説明しています。

頭部外傷後、傷がある場合、あるいは心配な場合には、遠慮なく汐田総合病院脳神経外科を受診されてください。