健康コラム

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手足のしびれについて(2)

神経根と脊髄の病気

整形外科の病気・椎間板ヘルニアも原因のひとつです。椎間板は上下の背骨をつなぎ、クッションの役割をしている軟骨です。その椎間板が飛び出して神経根や脊髄を圧迫して起こるのが椎間板ヘルニアです。

首に起こる頸椎椎間板ヘルニアや、腰に起こる腰椎椎間板ヘルニアが代表的で、それぞれ腕や脚にしびれが出て強い痛みを伴うことがあります。

また、椎間板ヘルニアの仲間のような病気に、頸椎症や腰部脊柱管狭窄症などがあります。これらは背骨の変形により、神経根や脊髄が圧迫されるものです。頸椎症は、転んだときなどに衝撃が加わると脊髄が損傷して、四肢麻痺を起こすこともあるため、注意が必要です。

一方、しびれの原因となる神経内科の病気には、脊髄に起こる脊髄の腫瘍や梗塞(血行不良で壊死すること)、脊髄炎、多発性硬化症(免疫の異常で脳・脊髄などが繰り返し侵される難病)などがあります。脊髄の病気では、障害を起こした場所より下のしびれを起こすのが典型的です。

脳の病気

脳の病気が原因で起こるしびれは、左右どちらかの半身がしびれたり、顔面にしびれが起きたりするのが特徴的です。急にしびれが発症する場合は脳梗塞や脳出血が考えられるので、緊急に医療機関を受診する必要があります。

しびれの検査方法

しびれる体の場所、しびれの起こり方(急に起こったのか、徐々に起こったのか)、広がり方などの問診を参考に、診察します。診察では筆で触れたり、ピンで軽くつついたりして感覚の鈍い部分がないかを確認します。

さらに膝やアキレス腱の腱反射などをおこない、神経が正常に機能しているか、しびれ以外の症状(動きの悪さなど)があるかなどを調べ、障害の起こっている場所を推定します。

その上で、血液検査をおこない、糖尿病などの病気がないかを調べます。また、末梢神経に電流を流し、その伝わり方をみる神経伝導検査や脊椎・脊髄・脳を調べるレントゲン・MRI検査などをおこないます。

しびれを引き起こす病気は数多くあり、「様子をみても大丈夫」なものから、脳梗塞などの緊急性のあるものまでさまざまです。突然しびれが始まったときや、徐々に悪化していく場合は重大な病気の可能性があります。神経内科などを受診し、医師に相談しましょう。

「いつでも元気」2012年10月号より

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