健康コラム

掲載日:2011年6月6日

胃がんの手術療法についてお話します


汐田総合病院内科部長 森 隆 医師

胃がんを手術するのが適切かどうかは、通常、胃がんの進行度(stage)と、患者様の全身状態によって決定します。 進行度は表1のように、胃壁深達度とリンパ節、腹膜、他臓器転移の有無で、ⅠからⅣまで、4段階に診断します。実際には、壁深達度や転移は、胃カメラ、胃透視検査、CT検査、腹腔鏡検査、PET検査、腫瘍マーカー(採血)で、診断します。

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このように診断され、進行度が決定されると以下のように治療します。

  1. リンパ節転移が無い胃がんの場合は、内視鏡手術や腹腔鏡手術などで体に負担の掛からない手術をします。しかし、リンパ節転移を少しでも疑えば腹腔鏡手術をしてリンパ節をとります。
  2. 進行度Ⅱまでの進行胃がんや、リンパ節転移の明らかな場合、開腹手術しリンパ節もとることになります。化学療法を術後追加することがあります。
  3. 進行度Ⅲ以上の進行胃がんは、化学療法をして進行度を下げてから手術を行うことができます。
  4. 切除不可能な胃がんや、再発胃がんは、化学療法や緩和治療をします。

以上、進行度別の治療を大まかに述べました。

実際の手術方法は

A 幽門側胃切除:胃癌が、胃の出口に近い場合、出口の方を切除します。術後逆流性食道炎が多く、食生活では分食して胃袋が小さくなったのを補います。食後のダンピング症候群を予防する幽門保存法があります。

B 噴門側胃切除:比較的早期の胃の入り口の方にあるがんに対して、胃袋を温存するために行います。進行した胃の入り口のほうにある胃がんですとリンパ節転移が多く、次の胃全摘出術になります。

C 胃全摘出術:術後、小腸に食物が急速に移行するために生じるダンピング症候群、逆流性食道炎、ビタミンB12不足、カルシウム不足(骨粗鬆症)、鉄不足になり易く、体重減少、筋力低下があります。注射や薬、食事療法、生活習慣で是正します。

胃がんは、早期発見・早期治療で治療できる病気です

3回に渡って、「胃の働きと胃がんについて」「早期胃がんの治療」「胃がんの手術について」お話してきました。胃がんも初期の段階では自覚症状のないことが多いので、早期発見のためのがん検診が大切です。

「暮らしとからだ」第568号(2011年6月1日付)