健康コラム

掲載日:2011年5月10日

早期胃癌の治療についてお話します


汐田総合病院内科部長 森 隆 医師

 

早期胃癌は、健康診断で、バリウムを飲んだり、胃カメラをしたりしてみつけます。胃癌は胃の粘膜層に発症します。粘膜下層までの深さの癌を早期胃癌と呼んでいます(挿絵)。

igan-zu1[1]

Ⅰ早期胃癌の内視鏡治療

2001年の胃癌治療ガイドラインでは、内視鏡治療(胃カメラを飲んで胃癌切除治療を受ける)は、2cm以下の陥凹の少ない病変に限り治療可能とされていました。

しかし、2000年頃から内視鏡治療が進歩しはじめ、内視鏡で一括切除可能な病変の大きさが格段に大きくなりました。この方法は、北海道勤医協の石岡先生が全周切開という方法を考案したこと、及び佐久総合病院の小山先生が内視鏡下胃粘膜下層剥離術という方法(ESD)を考案し、一般病院にまで普及してきました。

この方法により、早期胃癌の一部は確実に切除できるようになりました。一部とは、胃癌の大きさはあまり問わず、深さが比較的浅いこと(粘膜層)、リンパ節などの転移がないときに有効です。

早期胃癌といってもリンパ節転移のある場合があり、注意を要します。これは、CT撮影などで診断します。

切除は通常内視鏡室で軽い麻酔を受け、内視鏡を飲んで、約40分から90分で終了します。出血したり、胃の壁に穿孔を起こしたりという偶発症が数%以下ですが存在します。

切除に時間がかかると患者様は苦しくなるので、時間がかかるとみられた場合に限り、当初から手術室で、全身麻酔下で行います。

Ⅱ早期胃癌の腹腔鏡治療

この方法も近年腹腔鏡治療が進歩し一般病院で適応を選んで行われるようになりました。手術室で全身麻酔により、お腹に数箇所の5mmから12mmの小さな穴を開け、そこから腹腔鏡や、電気メスを挿入して、胃癌を摘出する方法です。

全身麻酔が必要ですが、普通の開腹手術に比べ、術後の回復、退院が速くできる、手術瘢痕が小さい、という利点があります。リンパ節も一定のリンパ節が郭清できる点が、内視鏡室での切除より優れています。

Ⅲ早期胃癌のレーザー治療

内視鏡を飲んでレーザー療法で早期胃癌を治療することがあります。レーザーにも2種類あり、腫瘍焼灼療法という癌を凝固焼灼する方法と、癌だけ焼く光線力学的療法があります。レーザーの装置が必要で中規模以上の病院にあります。

以上のいずれかを選択するには主治医、消化器内科、消化器外科専門医と相談しましょう。

「暮らしとからだ」第567号(2011年5月1日付)