健康コラム

掲載日:2010年11月1日

糖尿病の合併症について(4)


梶山診療所所長 岡山 豊医師

糖尿病の恐ろしさは引き起こされる合併症にあります。最終回の今回は、感染症についてです。

52歳の建設業の男性、3ケ月前から咳が続いているため内科外来を受診されました。発熱なく呼吸困難感なく、痰も多くないとのことでした。

血糖値は以前から高いものの無治療のまま数年経っているようでした。胸部レントゲンを撮ると右上の肺野に異常な影があり、痰を検査したところ結核菌を認めました。HbA1c(糖尿病の指標)は8.7%と高く、半年前に肺結核になった同僚がいたとのことでした。隔離治療できる病院に入院となりました。

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54歳男性、以前から痔の痛みがありましたが、いよいよ痛みが強くなり椅子に座っていることも困難となったため、他院肛門科を受診しました。手術が必要との判断でしたが、糖尿病がありHbA1cは9.0%と高く、術後に傷口の治りの悪さや感染の心配があるためすぐには手術できないと言われました。

手術の前に糖尿病を治療して来るように言われ、私の糖尿病外来に来られました。内服治療を開始して徐々に血糖値は改善し、3ケ月後にHbA1c 6.4%となって、ようやく肛門科で手術が行われました。

3ケ月間、患者さんは肛門の痛みに悩まされ、まともに椅子に座れない不自由な生活を続けておられたわけです。

糖尿病患者は感染症にかかりやすく、風邪もひきやすく、肺結核もまれではありません。尿路感染症や歯周病、皮膚感染症などもみられ、とくに足の皮膚感染症は壊疽の原因にもなり得ます。

また、手術を受ける際には十分な感染症対策を要し、急ぐ必要のない手術の場合は糖尿病治療が優先されることもあります。

「暮らしとからだ」第561号(2010年11月1日付)