健康コラム

掲載日:2009年12月2日

「肺炎は高齢者の大敵」日頃の心がけと肺炎球菌ワクチンの接種が重要


みどり野診療所所長 豊田 浩二医師

肺炎は抗生物質などの薬の進歩と医療技術の向上により、治療できるようになりました。しかし、高齢者の方にとっては、肺炎はいまだに怖い病気です。

特に心臓や呼吸器に慢性疾患のある方、腎不全、肝機能障害、糖尿病の方などでは、肺炎などの感染症にかかりやすく、病状も重くなる傾向があります。また、急速に症状が進んだ場合、抗生物質などによる治療が間に合わないこともあり、危険です。

原因は

地球上には、細菌やウイルスなど、目に見えない微生物が数多くいますが、肺炎球菌は細菌の一つです。体力が落ちている時やお年寄りになって免疫力が弱くなってくると病気を引き起こします。

肺炎球菌が引き起こす病気は、肺炎、気管支炎などの呼吸器感染症や副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎などです。ペニシリンなどの抗生物質が効きにくい肺炎球菌の頻度は、1980年代後半より増加し、現在、臨床で分離される肺炎球菌の30~50%を占めているといわれています。

肺炎の例では原因となる微生物には各種細菌やウイルスなど、たくさんの種類があります。肺炎球菌は、その中で最も重要な位置を占めている細菌で、インフルエンザウイルスが多種類であるように、肺炎球菌にも多くの種類があります。

肺炎を予防するには

(1)はじめさまざまな病気から体を守る日頃の心がけは、外から帰ったらうがい、手洗いなど基本的なことが大切です。また、天気のよい日は陽光を浴びたり、散歩などの適度な運動をする、入浴などにより体を清潔に保つことも大事です。

(2)菌ワクチンの接種も重要です。

肺炎球菌ワクチンは

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肺炎球菌によって引き起こされるいろいろな病気(感染症)を予防するためのワクチンですので、肺炎球菌以外の原因による病気(感染症)には残念ながら予防効果はありません。1回の接種でいろいろな型に効くようにつくられています。

肺炎球菌には80種類以上の型があって、それぞれの型に対して免疫をつける必要がありますが、肺炎球菌ワクチンを接種しておけば、肺炎球菌感染症の8割ぐらいを占め、感染する機会の多い23種類の型に対して免疫をつけることができ、免疫力は5年以上続きます。 接種後の副反応(副作用)は、注射部位の腫れや、痛み、ときに軽い熱がみられることがありますが、日常生活に差し支えるほどのものではなく1~2日で消失し、安全に接種できることが確認されています。

「肺炎球菌ワクチン」の再接種について

今までは再接種(2回目)出来ませんでしたが、厚労省は09年10月18日の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会で再接種を認める通知を出しました。

再接種の対象者は、重症化するリスクの高い65歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ患者で、初回接種から5年以上経過していることが条件となります。

詳しくはかかりつけの医師にご相談ください。

「暮らしとからだ」第550号(2009年12月付)