健康コラム

掲載日:2008年6月1日

顔のしわ伸ばしで知られるボトックス注射治療


神経内科部長 南雲 清美医師

はじめに

ボトックス(ボツリヌス毒素)治療は顔のしわ伸ばしで知られていますが、医療的には眼瞼攣(がんけんれん)縮(しゅく)、片側(へんそく)顔面攣(れん)縮(しゅく)と痙(けい)性斜頸(せいしゃけい)に適用が認められています。今回はその疾患の説明と注射手技ならびに効果について解説します。

一側眼瞼攣(いっそくがんけんれん)縮(しゅく)と片(へん)側(そく)顔面攣(れん)縮(しゅく)は

眼瞼攣縮は初め一側の下眼瞼の細かい震えで始まり、さらに上眼瞼にも広がり、それが眼窩に広がると眼の瞼裂(けんれつ)は狭小化します。それが数ヶ月~数年と経過を追うに従い攣縮は頬骨筋へと広がり、更には片側顔面攣縮へと移行します。原因は顔面神経麻痺が改善した後の後遺症によるものと、顔面神経が脳幹から出た直後の所で近くを走る動脈による神経の圧迫によるものがあります。後者が治療対象になります。

痙(けい)性斜頸(せいしゃけい)は

頸が横に曲がっている、捻じれ後屈しているなどの、坐位・立位姿勢をとると出現する頸部の異常姿勢(ジストニー)です。臥位で改善し矯正試験で改善がみられます。パーキンソン症候群による症候性ジストニー、心因性や頸椎症による二次性斜頸を鑑別する事が必要です。

検査としては、頭部MRI、MRAまたは頸部MRIを施行します。さらに筋電図を用い罹患筋の同定を行います。

ボトックス注射は

ボツリヌス毒素はボツリヌス菌により産生される蛋白分解酵素で、作用機序は神経終末からアセチルコリンの放出を阻害します。講習を受けた医師がボツリヌス毒素を罹患筋に決まった量を皮下・筋肉注射します。それにより攣縮などの過剰な筋収縮がとれます。注射の効果は3~4日目から現れ、7~10日後にピークになり、効果持続期間は3~4ヶ月です。副作用や慎重投与をする場合がありますので十分医師の説明をうける事が必要です。当院では脳神経外科、神経内科で施行しております。

「暮らしとからだ」(2008年6月1日付)