健康コラム

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小児成長期の食育の重要性「ビタミン 微量元素に注目」

汐田総合病院 小児科 冨澤 明子医師

 猛暑の夏も過ぎつつありますが、夏バテで食欲が低下しているご家庭も多いのではないでしょうか。
 小児の最大の特徴は日々成長し発達することであり、その経過には様々な要因が関係しますが、最近注目されているのが小児期の栄養です。

ビタミンDの十分な接種を

 乳幼児や思春期の子どもは、成長目覚ましい時期であり、骨や筋肉を丈夫にするビタミンDやカルシウム、タンパク質を十分に摂取する必要があります。ビタミンD摂取が不足している母による完全母乳栄養、食物アレルギーによる食事制限、日光暴露への過度の被覆、無理なダイエットなどにより過去の病気とされていたビタミンD欠乏症が近年話題になっています。

 骨密度の獲得は思春期に最大となるため、この時期に欠乏すると将来骨粗鬆症になる可能性が高まります。

不足しがちな鉄分・亜鉛

 さらに体格は正常でも、野菜が苦手な子どもも多く、外来の検査で偶然発見される鉄欠乏性貧血も珍しくありません。母体からの胎盤経由の鉄分の移行も少ない早産で生まれた赤ちゃんや、離乳食が進まない乳児も鉄が不足しがちになりやすいです。授乳中のお母様には乳汁への分泌を促すために、十分鉄分を摂取して頂きたいです。

 また低身長の原因のひとつとしては、鉄に次いで体内に多く含まれる微量元素である亜鉛欠乏があります。亜鉛は味覚を正常に保つ働きもあり、食欲不振、皮膚炎、脱毛、貧血などの原因にもなります。

 亜鉛の含有が比較的多い食品としては、魚介類ではかき、たらこ、帆立、肉類では鳥や豚のレバー、卵黄、納豆、チーズ、ナッツ類、ごまなどが挙げられます。

 治療としては近年錠剤内服薬が保険適応になりましたが、乳幼児は錠剤では内服出来ないので市販の亜鉛含有飲料もお勧めです。忙しい毎日で外食や市販の惣菜を購入する機会も多いですが、食品を選ぶ際にビタミン、微量元素の摂取も配慮して頂ければ幸いです。当院小児科では土曜日午前中を中心に内分泌専門外来を行っております。お気軽にお問合せ下さい。

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