健康コラム

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乳がん自己検診のコツ

汐田総合病院外科部長 竹村正伸医師

乳がんは、自分で乳房の"しこり"を観察することがきっかけとなって、発見につながることの多い病気です。早期発見のためにも、30歳を過ぎたら、ぜひ定期的に触診による自己検査を行うようにして下さい。

もちろん、自己検診のみでは十分と言えず、病院でマンモグラフィ(乳房のX線撮影)を受けることをお勧めします。横浜市では、40歳以上を対象として、2年に1度、病院での医師の診察とマンモグラフィ検査の併用を推奨しております。

乳がんと乳腺症

いずれにしても、大部分の乳がんは"しこり"として発見されることが多いので、自己検診が大切ですが、すこしコツがあると思います。それは、がんは基本的に"痛くない"のです。痛い場合は、よく耳にするかもしれませんが"乳腺症"などの良性疾患であることが多いのです。参考までに"乳腺症"は、しばしば"しこり"様に触知することも多く、特に生理直前に痛みを伴ってくることが特徴です。乳がんと鑑別が問題になりますが、乳がんに移行することはありません。そして乳がんは“硬い”ことも特徴です。一度硬く触れたら、柔らかくなることはありません。乳腺症のように生理の前後で硬さが変化することはありません。

異常を感じたらまず診察を

自己検診は、月1回で十分で、生理による乳腺の変化の影響を少なくするため、生理が終了して1週間ごろに行うのがベストです。1~2cm程度の、無痛性の、硬いしこり。そのような乳房の異常を2回続けて気がついたら、病院での診察を受けてください。それで十分間に合います。

また、病院での定期検診で行うマンモグラフィは、被爆量は胸のレントゲンより少なく、触知不能ながんを見つける場合がありますので(5mm程度の超早期がんや、たとえ大きくても、輪郭がはっきりしない特殊ながんの発見につながります)できるだけ撮影を受けることをお勧めします。

最後に、何か異常を感じたら、あまり躊躇せず、特に初回は病院での診察を受けられたほうが余計な不安を増やさないコツと思います。

「暮らしとからだ」2006年1月号

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