健康コラム

掲載日:2005年9月1日

禁煙のススメ(2)


汐田総合病院院長 窪倉 孝道医師

死亡者は交通事故の10倍

今回は、タバコの実害についてお話します。

タバコの有害物質による健康への害は呼吸器、循環器、がんなど多岐にわたります。致死的な病気が多いことから、喫煙者の寿命が短いことは内外の研究でも明らかです(図1)。日本の、喫煙が関連した病気による死亡者数は、年間10万人といわれています。これは日本の死亡数全体の10数%をしめ、交通事故死の10倍、自殺者の3倍です。

またタバコの有害物質は、老化と関連が深い動脈硬化、免疫力の低下、脳の萎縮、白内障、難聴、皮膚のしわ、体力の低下などをすすめます。喫煙は老化を早める行為であるとも考えられるのです。

女性の喫煙、子供にも害

最近、若い女性の喫煙が増えています。女性の喫煙は肌荒れやしわなど、本人の老化を早めるだけでなく、次世代への影響が大きいことが問題です。喫煙によって女性ホルモン分泌が抑制されるため、不妊となりやすいのです。母親が喫煙すると胎児の低酸素症も招くため、早産、低出世時体重、先天異常などが増えます。

また、母親が喫煙する過程で小児ぜんそくが明らかに増加します。次世代の健康を守るためにも、女性の喫煙の弊害について、もっと強調される必要がありそうです。

今からでも遅くない

禁煙すれば危険が減ることは、多くの調査で証明されています。何年も喫煙しているから仕方がないとあきらめる必要はありません。禁煙後数年で肺がん発症の危険は、喫煙者の半分になります。虚血性心疾患で死亡する危険は、1年以内に半減します。慢性気管支炎や、咳や痰などの症状は数日で改善することが多いのです。

その他、嗅覚や味覚、皮膚の色艶などの改善なども禁煙後、比較的早くに認められるよい徴候です。身体症状の改善だけではありません。タバコの補給の心配、喫煙場所の確保、金銭的負担などの問題が解決し、家族で「煙たがられる」こともなくなってストレスも軽くなります。何よりも、喫煙習慣からの解放感、健康感が大きいと思います。

次回は、習慣性についてお話します。

「暮らしとからだ」2005年9月付