健康コラム

掲載日:2005年7月1日

頭痛のはなし(5)


汐田総合病院脳神経外科(副院長) 小澤 仁医師

今回は、脳梗塞についてお話しましょう。

一般的に脳梗塞は、脳の血管が詰まった結果、一般的には痛みを感じることは殆ど無く、手足や顔が動きが悪くなったり感覚が鈍くなったりする病気です。

しかし、解離性動脈瘤と言って、(強さに関係なく首を捻った時等に)首の後ろを走る動脈の壁に裂け目が入り、裂け目が入った部分の血管が紡錘状に膨らむ病気があります。裂け目が入った時点では、多くは首の後ろの痛みだけですが、裂け目が血管の枝分かれの部分にまで拡がる結果、枝分かれの血管に血液が流れなくなって脳梗塞の症状に陥ったり、裂け目が血管の壁全層に渡る結果、血管が破裂してくも膜下出血の症状に陥ったりします。後頭部の頭痛と言うことで、頭部単純CTを撮ってもくも膜下出血が認められず、腰椎穿刺をしても出血が無い場合でも、安心できない病気として知られています。

特にこの血管は椎骨動脈と言う血管に起こることが殆どで、生命の中枢を養う血管であることから、くも膜下出血に陥った場合の症状は重篤で死亡することが多いようです。ですから、突然の頭痛でくも膜下出血が否定されても、新たな症状が出現した場合には脳梗塞に進行する解離性椎骨動脈瘤があるのかもしれませんし、この病気を強く疑う場合には、頭部単純MRにて頸部の血管の断面を撮ったり、脳血管造影にて診断をする必要があります。

脳梗塞に進行する可能性が高い場合には、脳梗塞の悪化を予防する治療、特に血液をサラサラにする治療をするを行う訳ですが、血管の裂け目が血管全層に拡がった場合はくも膜下出血をおこしてしまい、脳梗塞の悪化を予防する治療が「裏目に出る」ことも危惧され、困った病気の一つです。ですからこの病気が疑われる場合は、診断が確定しなくとも入院して経過観察をすることが必要となります。

以上で、「頭痛」についての話は終わりです。一般的には一番最初にお話した内容の頭痛が殆どですので御安心を。

「暮らしとからだ」2005年7月付