健康コラム

掲載日:2005年3月1日

脳神経外科であつかう顔面の病気:「三叉神経痛」を脳神経外科で治す


汐田総合病院脳神経外科(院長) 窪倉孝道医師

三叉神経痛とは

脳神経由来の顔の病気には動きの障害と感覚の障害がありますが、今回は顔面の感覚をつかさどる三叉神経が異常に興奮して生じる三叉神経通についてお話します。三叉神経痛は歯、鼻、目の周囲から顔面に広がる激しい発作性の痛みで、食事や洗面を契機にして激しい顔面痛が生じるため、大変つらい病気です。当初の痛みは秒単位で、同様の部位に反復し、痛みのないときには感覚の低下もないという典型的な症状と画像検査で容易に診断ができます。

三叉神経痛の原因

三叉神経が脳幹から枝分かれする根元の部分が刺激に対して大変感受性が高く、ここに自身の血管や腫瘍が慢性的な圧迫刺激を加えることで生じます。大まかな言い方ですが、座骨神経痛が腰椎椎間板のヘルニアの神経圧迫によって生じるのと同じ原理で説明できるのです。

三叉神経痛の治療は

一般の鎮痛剤ではなく、神経の興奮を抑える薬を内服するのが第1の治療です。しかし、痛みが大変強い場合や薬が体質に合わない患者さんは、次の選択肢として三叉神経の根元近くにグリセリンを注入するブロック治療を行います。ブロック治療は当院では2泊3日の入院で行っており、静脈麻酔で行いますので痛みも無く、効果的なブロックの場合1年から数年の痛みの消失効果が得られます。

それでも、ブロック治療には限界があるので、お若い患者さんには根治治療として神経減価術がお勧めです。この手術は耳の後ろの毛髪を手のひらほぼ刈り込み、小さな卵大のCの字型の切開をおくだけで可能です。

頭蓋には500円玉ほどの穴を開け、そこから顕微鏡で神経の根元をのぞいて圧迫血管を探し出し、神経との間にやわらかいスポンジを挿入して興奮している神経を減価・保護するものです。手術時間は約3~4時間、術前/術後の処置も含めて2週間程度の入院となっていますが、10日で退院する元気な方もおられます。

三叉神経痛と同様の原因で生じる顔面のけいれんも中高年の女性を中心によく見られる症状ですが、お1人で悩まず、お気軽に脳神経外科医に相談してくださるようお願いいたします。

「暮らしとからだ」2005年3月付