老人医療を主体とするジェネラリスト養成コース
2007年をピークに日本の人口が減少に転ずるといういまだかって経験したことのない時代を迎えるとともに、日本が先進諸国の中でも早いスピードで高齢化社会へ突入する事から、老人医療のあり方はこれまで以上に国民的な課題となり、老人医療に精通した医師が求められています。
また、臨床研修制度の改革を契機に、若手の医師の間にも専門科や専門技術に偏り過ぎないジェネラリストを志向する医師も増えてきており、当院では今後、需要が増えてくると思われる老人医療を主体としたジェネラリスト養成コースを後期研修のプログラムのひとつとして設置し、これまでにないユニークで実践的な後期研修のあり方を模索します。
民医連の医療機関として弱者を切り捨てない、患者様の人権を守るスタンスを継続してきたことから、老人医療に関しては一定の診療経験の蓄積がありますが、ここ数年以内に新しく開設した、老健やすらぎ、回復期リハ病棟、また療養病棟(2006年4月開設)を活用した研修プログラムを組みます。
一般目標
- ジェネラリストとしてのプライマリーケアを習得する。(成人、老人)
- 老人医療に関して、在宅、病棟、施設と幅広く研修することにより、高齢者総合機能評価に精通し、セミプロフェッショナルなレベルまでの知識、経験、技術を習得する。老人医療と介護の場面での倫理問題の解決方法を研鑽する。
- 脳卒中については当院の特徴を活かし、救急からリハビリ、再発予防の慢患管理まで一貫した経過を研修し、国民病としての脳卒中診療への理解を深めるとともに、医学的な研修にとどまらず、患者様の生活背景や社会保障制度、チーム医療のリーダーとしてのスタンスを研修する機会とする。
具体的内容
| 目標 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
|---|---|---|---|
| [1]プライマリーケア | ・救急外来 ・健診 ・フォロー外来 |
・救急外来 ・健診 ・慢患外来 ・総合外来 |
・救急外来 ・健診 ・総合外来 ・診療所研修 |
| [2]老人医療 | ・回復期リハ病棟 ・往診 |
・療養病棟 ・往診 |
・老健施設 (3ヶ月程度) ・往診 |
| [3]脳卒中 | ・救急対応のマスター急性期治療の学習 ・リハビリ |
・外来での再発予防 ・患者教育 |
・スタッフの教育 ・マネージメント研修 |
具体的獲得目標
1年目
- 回復期リハ病棟で主治医としての疾患管理、リハ処方、書類記載ができるようになる。
- 救急外来での適切な一時対応ができ、必要に応じた専門科へのコンサルテーションができる。
- 健診での医師観察が的確に行える。その場でできるアドバイスや受診者の質問に答えられるようになる。
- 定期往診が一人で行えるようになる。
- 脳卒中急性期治療の目標を呈示できる。
※回復期関係の発表をする。できれば医報に。
2年目
- 療養病棟で看取りも含めた主治医業務ができるようになる。
- 救急外来での対応については初期研修医のセカンドコールに対応できるレベルになる。
- 健診については結果返しなどの診察以外の部分についても参加できるようになる。
- 定期往診だけでなく、場合によっては臨時往診に対応したり、カンファレンスなどのチーム医療の場面でリーダシップがとれるようになる。
- 高血圧外来などの慢患管理ができるようになり、総合外来の研修を始める。
- 患者教育での講師ができるようになる。
※全国レベルでの発表をする。できれば論文にする。
3年目
- 老人保険施設での研修を行い、他の介護保険分野の施設についても理解を深め、適切なゲートキーパ能力を身に付ける。
- 救急外来、健診、往診ともに初期研修医の指導ができるようになる。
- 内科総合外来が一人でできるようになる。
- スタッフ教育を自分で企画し、実践できるようになる。
- 診療所研修を何らかの形で行う。
※後期研修のまとめを作る。
具体的獲得技術及び評価法
- 胸部レントゲン、胸部CT、腹部CT、頭部CT、MRI、DSAなどの読影
- 腹部エコー、頚動脈エコーなどの読影及び結果の理解
- 頻度の高い整形疾患、皮膚科疾患の鑑別診断
- 嚥下造影、嚥下内視鏡
- 痴呆疾患の診断能力と評価、治療、管理
- 電気生理学的診断(抹消神経伝導速度、筋電図など)
- ADLの評価、障害状態の評価(B r stage、ASIAなど)
- リハビリテーション
ジェネラリスト養成コースにて後期研修中
岡山 豊
将来は診療所勤務や開業といったプライマリーケアに従事していきたいと以前から考えていたので、初期研修を終えた後も引き続き総合診療的な研修を希望していました。
2年前ちょうど運良く当院の研修プログラムに出会い、また個人的な場所の条件も合致していたことから、平成18年4月から当院で後期研修を開始しました。
「老人医療を主体とするジェネラリスト養成コース」という3~4年間のプログラムですが、その具体的な内容については、研修医担当の先生と話し合いながら、時には年単位で、また時には数ヶ月単位で見直しながら決めています。
平成18年度は、内科一般病棟やリハビリ病棟、療養型病棟などで計10名程度の患者さんを担当しながら、高血圧外来や小児科外来、上部消化管内視鏡検査を週1単位行いました。
日中の救急担当は週2~3単位、外来当直を月4~6回受け持ち、内科的疾患に限らず縫合や固定など外科系の処置が必要な患者も積極的に診ています。
平成19年度は総合内科外来を加えて、糖尿病などの生活習慣病をメインとした外部施設での外来研修もしています。そして、今年度からは当院で糖尿病外来を1単位担当します。また、皮膚科や整形外科などの研修や腹部エコー検査研修を追加することも考え検討中です。
研修内容の希望についてじっくりと話し合いを持ち、実現できる方向を可能な限り模索してくれて、さらに追加提案も出してくれる、そんな病院だと思います。






