医療安全管理指針
医療安全管理委員会
病院管理会議
平成14年8月23日制定
平成16年1月20日改訂
平成19年12月1日改訂
平成20年11月14日改訂
平成21年7月1日改訂
1, 総則
1-① 基本理念
医療現場では、医療従事者のわずかな不注意が、医療上予期しない状況や、望ましくない事態を引き起こし、患者の健康や生命を損なう結果を招くことがある。
私たち医療従事者には、患者の安全を確保するための不断の努力が求められている。さらに、日常診療の過程にいくつかのチェックポイントを設けるなど、単独、あるいは重複した過ちが、医療事故という形で患者に実害を及ぼすことのないようなしくみを構築することが重要である。
本指針はこのような考え方のもとに、それぞれの医療従事者の個人レベルでの事故防止対策と、施設全体の組織的な事故防止対策の2つの対策を推し進めることによって、医療事故の発生を未然に防ぎ、患者が安心して安全な医療を受けられる環境を整えることを目標とする。当院においては、病院長のリーダーシップのもと、全職員がそれぞれの立場からこの問題に取り組み、患者の安全を確保しつつ必要な医療を提供していくものとし、全職員の積極的な取り組みを要請する。
1-② 用語の定義
本指針で使用する主な用語の定義は、以下のとおりとする。
(1) 医療事故…医療の過程において患者に発生した望ましくない事象。また、医療提供
側の過失の有無は問わず、不可抗力と思われる事象も含む。
(2) 当院…汐田総合病院
(3) 職員…汐田総合病院に勤務する、医師、歯科医師、看護師等、歯科衛生士、薬剤師、検査技師、放射線技師、理学・作業療法士、言語聴覚士、臨床工学技士、栄養士、調理師、事務職員等あらゆる職種を含む
(4) 職責者…当該職員直属の職場責任者、管理的立場にある者
(5) 医療安全管理者…医療安全管理に必要な知識および技能を有する職員であって、病院長の指名により、当院全体の医療安全管理を専従的に担当するもの
1-③ 組織および体制
当院における医療安全対策と患者の安全確保を推進するために、本指針に基づき当院に以下の職務、および組織を設置する。
(1) 医療安全管理室(師長室)
(2) 医療安全管理者
(3) 医療安全管理室室長(=安全管理担当副病院長)
(4) 医療安全対策委員会(委員長=診療部長)
(5) 医療事故対策委員会
(6) 医療に関わる安全確保を目的とした報告
(7) 医療に関わる安全管理のための研修
2, 医療安全管理室
(1) 設置目的
患者の安全確保推進のため、医療安全管理、医療事故防止対策の中枢的役割りを担うことを目的に医療安全管理室を設置する。安全に係る事項の事務局として、報告されたインシデントアクシデントレポートについて、対応委員会を決定する。
3, 医療安全管理者
(1) 基本業務
① 医療安全に関する一連の取り組み、情報収集、リスク評価分析、対策立案、実施評価を行う
② 院外情報の収集と管理、病院内への発信
③ 医療安全のための必要な職場間の調整や各職場への援助、委員会との連携
④ 医療の安全に関する研修・教育
⑤ 患者相談窓口業務との関わり
⑥ 重大事故発生時、事故対策チームの指示に従って、初期対応をサポートする
4, 医療安全管理室長
(1)任務
医療安全管理室の責任者として、医療安全管理者からの相談をうけ、また業務の指導をする。医療安全に関わる規定の改定提案を行う。
5, 医療安全対策委員会
当院における医療安全管理対策を総合的に企画、実施するために、安全対策委員会を設置する。別途委員会規定として、目的、委員構成、職務、報告、周知徹底、会議開催等について規定する。
6, 医療事故対策委員会
安全対策委員会との連携のもと、インシデントアクシデントレベル3以上の事案について取り扱う。主に医療過誤、もしくは疑い、または過誤がなくとも、不可逆的障害が生じた場合、さらには患者、家族から抗議を受けた場合の対応機関とする。
法人、神奈川民医連、行政、警察署、マスコミ、等への届けの判断を行う。
別途委員会規定として、目的、委員構成、職務、開催、責務等について規定する。
7, 報告等にもとづく医療に関わる安全確保を目的とした改善方策
7-① 報告とその目的
この報告は医療安全を確保するための、システムの改善や教育・研修の資料とすることのみを目的としており、報告者はその報告によってなんら不利益を受けない。
具体的には
(1) 院内における医療事故や、危うく事故になりかけた事例等を検討し、事故予防対策、再発防止策を策定すること
(2) これらの対策の実施状況や効果の評価、点検等に活用しうる情報を院内全体から収集することを目的とする。これらの目的を達成するため、すべての職員は次項以下に定める要項にしたがい、医療事故等の報告を行うものとする。
7-② 報告にもとづく情報収集
(1) 報告すべき事項
すべての職員は、院内で次のいずれかに該当する状況に遭遇した場合には、概ねそれぞれに示す期間を超えない範囲で、すみやかに報告するものとする。
①医療事故
⇒医療側の過失の有無を問わず、患者に望ましくない事象が生じた場合は、発生後直ちに職責者へ。職責者から直ちに医療安全管理者⇒室長⇒病院長へと報告する。
②医療事故には至らなかったが、発見、対応が遅れれば患者に有害な影響を与えたと考えられる事例
⇒速やかに職責者、または医療安全管理者に報告する。
③その他、日常診療のなかで危険と思われる状況
⇒適宜、職責者または医療安全管理者に報告する。
(2) 報告の方法
①前項の報告は、原則として別に報告書式として定める書面をもって行う。ただし、緊急を要する場合にはひとまず口頭で報告し、患者の救命措置等に支障が及ばない範囲で遅滞なく書面による報告を行う。
②報告は、診療録、看護記録等、自らが患者の医療に関して作成すべき記録、帳簿類に基づき作成する。
7-③ 報告内容の検討等
(1) 改善策の策定
医療事故対策委員会は、前項の定めに基づいて報告された事例を検討し、医療の安全管理上有益と思われるものについて、再発防止の観点から、当院の組織としての改善に必要な防止対策を作成するものとする。
(2) 改善策の実施状況の評価
医療事故委員会は、すでに策定した改善策が、各部門において確実に実施され、かつ安全対策として有効に機能しているかを常に点検・評価し、必要に応じて見直しを図るものとする。
7-④ その他
(1)病院長、医療安全管理者、および医療安全管理委員会の委員は、報告された事例について職務上知りえた内容を、正当な事由なく他の第三者に告げてはならない。
(2)本項の定めにしたがって報告を行った職員に対しては、これを理由として不利益な取り扱いを行ってはならない。
8, 安全管理のための指針・マニュアルの整備
8-① 安全管理マニュアル等
安全管理のため、当院において以下の指針・マニュアル等を整備する。
(1) 院内感染対策指針
(2) 医薬品安全使用マニュアル
(3) 輸血マニュアル
(4) 褥創対策マニュアル
(5) その他
8-② 安全管理マニュアル等の作成と見直し
(1) 上記のマニュアル等は、関係部署の共通のものとして整備する。
(2) マニュアル等は、関係職員に周知し、また、必要に応じて見直す。
(3) マニュアル等は、作成、改変のつど、安全対策委員会に報告し、管理会議において承認するものである。
8-③ 安全管理マニュアル等の作成の基本的な考え方
(1) 安全管理マニュアル等の作成は、多くの職員がその作成・検討に関わることを通じて、職場全体に日常診療における危険予知、患者の安全に対する認識、事故を未然に防ぐ意識などを高め、広めるという効果が期待される。すべての職員はこの趣旨をよく理解し、安全管理マニュアルの作成に参加しなくてはならない。
(2) 安全管理マニュアル等の作成、その他、医療の安全、患者の安全確保に関する議論においては、すべての職員はその職種、資格、職位の上下に関わらず対等な立場で議論し、相互の意見を尊重しなくてはならない。
9, 医療安全管理のための研修
9-① 医療安全管理のための研修の実施
(1) 安全対策委員会は、予め作成した研修計画にしたがい、1年に2回程度、全職員を対象とした医療安全管理のための研修を定期的に実施する。
(2) 研修は、医療安全管理の基本的な考え方、事故防止の具体的な手法を全職員に周知徹底することを通じて、職員個々の安全意識の向上を図るとともに、当院全体の医療安全を向上させることを目的とする。
(3) 職員は、安全に関する研修の受講が義務づけられ、実施される際には、極力受講するように努めなければならない。
(4) 病院長は、本指針(Ⅷ-1の(1))の定めに関わらず、院内で重大事故が発生した後など、必要があると認めるときには、臨時に研修を行うものとする。
(5) 安全対策委員会は、研修を実施したときは、その概要(開催日時、受講者、研修項目、受講者レポート)を記録し2年間保管する。
(6) 勤務上、受講が困難な場合は、各職場において伝達講習を行う。
9-③ 医療安全管理のための研修の実施方法
医療安全管理のための研修は、病院長の講義、院内での報告会、事例分析、外部講師を招聘しての講習、外部の講習会・研修会の伝達報告会または有益な文献の抄読などの方法によって行う。
10, 事故発生時の対応
10-① 救命措置の最優先
医療側の過失によるか否かを問わず、患者に望ましくない事象が生じた場合には可能な限り、まず、院内の総力を結集して、患者の救命と被害の拡大防止に全力を尽くす。
また、院内のみでの対応が不可能と判断された場合には、遅滞なく他の医療機関の応援を求め、必要なあらゆる情報・資材・人材を提供する。
10-② 病院長への報告
(1) 前項の目的を達成するため、事故の状況、患者の現在の状態等を、職責者を通じてあるいは直接に病院長等へ15分以内にかつ正確に報告する。
(2) 病院長は、必要に応じて委員長に医療安全管理委員会を緊急招集・開催させ、対応を検討させることができる。
(3) 報告を行った職員は、その事実および報告の内容を、診療録、看護記録等、自らが患者の医療に関して作成すべき記録、帳簿等に記録する
11, 患者・家族・遺族への説明
(1) 事故発生後、救命措置の遂行に支障をきたさない限り、可及的速やかに、事故の状況、現在実施している回復措置、その見通し等について、患者本人、家族等に誠意をもって説明するものとする。
患者が事故により死亡した場合には、その客観的状況を速やかに遺族に説明する。
(2)説明をおこなった職員は、その事実および説明の内容を、診療録、看護記録等、自らが患者の医療に関して作成すべき記録、帳簿等に記録する。
12, その他
12-① 本指針の周知
本指針の内容については、院長、医療安全管理者、医療安全委員会等を通じて、全職員に周知徹底する。
12-② 本指針の見直し、改正
(1) 安全管理事務局はは、少なくとも毎年1回以上、本指針の見直しを議事として取上げ検討するものとする。
(2) 本指針の改正は、医療安全管理者が検討作成し、医療安全管理室事務局および管理会議において承認する。
12-③ 本指針の閲覧
本指針の内容を含め、職員は患者との情報の共有に努めるとともに、患者およびその家族等から閲覧の求めがあった場合には、これに応じるものとする。また、本指針についての照会には医療安全管理者が対応する。
12-④ 患者からの相談への対応
病状や治療方針などに関する患者からの相談に対しては、担当者を決め、誠実に対応し、担当者は必要に応じ主治医、担当看護師等へ内容を報告する。




